2024/12/14

「ぶれない専門性」が築いた信頼の90年。鍛造金型への特化が導く未来への成長戦略。

株式会社真末鉄工所 様

1941年創業の株式会社真末鉄工所様は、自動車部品の中でも特に高精度を求められるエンジンや駆動系の重要保安部品の「金型」設計・制作を得意とし、国内自動車メーカーのマツダ株式会社様を主要取引先として、自動車業界でご活躍されている金属加工会社である。
この度、長く務められた異分野からの経験や視点を活かして会社改革を進める7代目社長の大久保台取締役に、長期経営を実現する企業づくりの秘訣と設備投資が生み出す未来戦略について語っていただいた。

御社は今年で90周年を迎えられました。100周年も目前となりますが、ここまで長く続いている秘訣はなんでしょうか?

良くも悪くも色んな製品に手を出さず、愚直に鍛造金型に特化してきたことが良かったのではないでしょうか。

ダイキャストにも手を出そうとしていた時期があったのですが、ダイキャストは競争が激しく価格競争を強いられ、ある程度の規模が必要になります。新しい取組は大事ですが本当に利益になるのかを考えて、軸足をぶらさず競争相手が少ない鍛造金型に集中してきました。

鍛造金型に集中したからこその専門性を評価いただき、1951年に東洋工業㈱様(現マツダ㈱)から鍛造金型の発注をいただくようになりました。当時はマツダ様の鍛造金型の100%を弊社が受注していましたが、キャパ的な問題があり全ての発注に対応できず悔しい思いをする時期もありました。現在でもマツダ様とは良好な関係で取引を継続させていただいております。やはり鍛造金型に集中するという、ぶれない姿勢が良かったのだと思います。

大久保社長は2016年に真末鉄工所へ入社され、2020年に取締役社長へ就任されました。経営に携わるようになって、大切にしていることはどのようなことでしょうか?

従業員にはそれぞれ家族がいます。その家族全員の生活を守っていく、豊かにしていくということを常に考えています。現在弊社には28名の従業員がいますから従業員の家族を含めて100人規模をイメージして、その100人の生活を支えていく必要があると思っています。従業員の皆さんが頑張って仕事をしてくれているおかげで私は生活ができていますから、私としても営業利益を出来るだけ多く社員へ還元していきたいと考えています。

社長を務めることになるにあたり、中小企業の存在意義について考えてきました。私なりの答えですが、地域の雇用を生み出すためにあるのではないかと思っています。そのため今後も会社を存続させ地域の雇用を生み出し、従業員とその家族を含めた全員の幸福度を上げていくことを目指していきます。

1951年からマツダ様とのお取引をされています。現在では1次サプライヤーとしてお取引をされていますが、長らくマツダ様から信頼を得ている強みはなんでしょうか?

鍛造金型の製造というのは、他の金型と比べて非常に手間のかかる製品です。多くの会社が敬遠するなか、弊社は昔から鍛造金型に特化してきたことが評価され、現在でも継続取引に繋がっていると感じています。

それと、もう一つ重視していることは、弊社で製造したものについては、鍛造金型に限らず最後まで責任を持ち、発注先にご迷惑をかけないよう最大限の努力をしていることです。具体的には、納品までのチェック体制を強化しています。手作業によるチェックで大変な作業にはなりますが、確認事項を細分化し納品前に行うことで、不良品の発生率を抑えるように取り組んでいます。ただ、それでも納品した製品が100%問題ないということはありません。マツダ様から納品した製品に関して問い合わせがあった際は即時対応を心掛けています。人と人とのコミュニケーションを大事にし、こうした小さな信頼を積み重ねてきたことも評価されている要因の一つではないでしょうか。

この度、最新の「横型マシニングセンター」を導入されました。この設備を使って新たに挑戦していきたいものはなんでしょうか?

現在は自動車のエンジン回りの金型製造が中心ですが、今後はEV車に関する金型受注に取り組んでいきたいと思っています。それと興味があり検討しているのは、FSW(摩擦攪拌接合)と呼ばれるものです。異種材を接合させることができる技術で、例えばアルミと銅の接合を可能とするというのは従来の溶接では難しかったのですが、このFSW設備を使うことで対応できるようになります。これは、トヨタ自動車株式会社様の製品では使われている技術ですが、広島エリアではまだ導入が少ないため導入できればと思っています。接合した部材は新たに導入した横形マシニングセンターで加工することができますので、EV車の製品の加工が可能となります。具体的には、EV車のバッテリーケースでの活用です。バッテリーケースは軽量化と強度が求められますがアルミだけでは強度が不足します。そこでFSWで別素材と接合すれば、軽量化と強度を両立したバッテリーケースを製造することが可能になります。

自動車業界は100年一度の大変革時代と言われて技術革新のスピードが非常に早くなっています。今までは動力の主役がエンジンであったため、エンジン関連の鍛造金型に特化してきたことが会社発展に寄与してきましたが、今後は動力の主役が変わってきます。今までのようにエンジン関連の鍛造金型だけに特化しては社会に取り残されてしまいます。今後は技術変化社会の動きを見極めて、良い意味でブレながらなんでも取り組んでいきたいと思っています。

来年早々には工場屋根に自家消費型太陽光発電施設を導入されるご予定ですが、このタイミングでの導入というのはどういった経緯があったのでしょうか?

弊社では、カーボンニュートラルに向けて2013年比でCO2排出量を46%削減することを目標とし、まずは排出量の見える化、そして省エネ化、さらに節電という流れで対策をとってきました。これらの対策だけでは限界があるため、創エネとして自家消費型太陽光発電施設を導入することを決めました。この太陽発電施設によってCO2削減効果が約26%と試算しており、会社全体のCO2排出量の削減目標に大きく寄与します。

そもそもカーボンニュートラルについてですが、以前はネガティブな考えを持っていました。しかし、マツダ様が2023年にカーボンニュートラルに向けての取組みを発表されていることから、1次サプライヤーである弊社にも金型一つあたりに発生するCO2排出量や今後の削減量を把握することが求められる時期が来るのではないかと考えています。そうした時に、マツダ様の要請に応えられるようになっていれば信頼度は上がると思いました。例えば他の会社では金型一つあたりのCO2排出量や削減量を把握していないことはもとより、全体の排出量もよくわからないという状況はあり得ます。しかしながら、弊社は工場全体のCO2排出量や削減量の把握や金型1個単位までの排出量と削減量を把握していますとなったときに、カーボンニュートラルを進めるマツダ様にとってどちらを採用するかというと、弊社を採用する確率が格段に高くなるのではないでしょうか。

こうした背景から早めに対策を打っておけば弊社にとってプラス要因として働くと思い、カーボンニュートラルの取組に対してポジティブになりました。

太陽光発電施設の投資額は大きな額ですが、昨今の電気代高騰のことも鑑みれば回収年数が15年~20年以内に収まります。電気代高騰対策とカーボンニュートラルの取組みという点から、弊社にとっては一石二鳥の取組みとなります。

また、今回の太陽光発電施設導入では、休日に発電する余剰電力も有効活用したいという観点からマツダ様のプラグインハイブリッド車を社用車兼蓄電池として採用することにしました。まだ蓄電容量は限られていますが、今後のBEV車が拡充されるときにはバッテリー容量が拡大するため、休日の余剰電力を平日の電力に有効活用できます。マツダ様の1次サプライヤーとしてマツダ製のBEV車を蓄電池に採用する発想は、同じマツダ様のサプライヤーにとっても参考になり、象徴的な取組みになるのではないかと思っています。

横形マシニングセンターおよび太陽光発電施設の導入、そして導入した設備の税制優遇等、今回フィールドマネジメントが伴走しながらご支援させていただいております。弊社の伴走支援について率直な感想をお願いします。

今まで色々なコンサルタントに見てもらってきましたが、コンサルタントは十人十色というか、あまり信用していませんでした。やはり自分たちで出来ることなら自分たちで行ったほうが良いと思っています。自分達でやることで会社のこともよく分かってくることもあるので。ただ、日常の業務というのは非常に煩雑で、自分で全てを行うことは現実的ではないとも思っています。特に、新規事業を見据えた設備投資の為に補助金を活用するような類は、タイミングもありますし、申請までの締切りもタイトです。必要な情報をタイムリーに収集することや締切りまでに準備するとなると圧倒的に時間が足りませんし、専門知識も足りません。こうした中小企業施策の申請のための準備や対応が難しい中での支援は、痒い所に手が届くという感じで本当助かりました。

一番ありがたいなと思うのは、日頃から連絡をくれるところです。こちらから聞いて動くのではなく、「○○どうですか?」「こういう取組がありますがどうでしょうか?」と、ちゃんと弊社を見てくれいるなと、分かってくれているなということが伝わってきます。こちらから質問しても、必ずレスポンスを返してくれるというのは、すごくありがたいなと感じています。

実は、最初に伴走支援の契約をしたときは、最初の1年間だけと考えていました。ただ実際に支援を受けると費用対効果が抜群です!今では今後も支援をお願いしたいと思っていますし、日頃から仲良くしている経営者の仲間にもフィールドマネジメントさんを紹介させていただいています。引き続き期待しています。

会社概要

名称

株式会社真末鉄工所

代表取締役

真末 克也

設立

昭和42年1月

所在地

〒731-1142 広島市安佐北区安佐町飯室 6861-2

事業内容

CAD/CAMによる鍛造用金型、鋳造用金型、プラスティック成形用金型、及び、アルミダイキャスト用金型、ならびにその周辺装置、治具類の設計制作。

ホームページ

https://masue.co.jp/

お問い合わせ先

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